今回は、矯正治療が終わった後に後戻りが起こるメカニズムについてご紹介します。長い年月をかけて歯列矯正の治療を行っても、その後の生活によっては再び歯並びや噛み合わせが悪くなってしまうことがあります。これを「後戻り」と呼びますが、どのようにして後戻りは起こるのでしょうか。
後戻りのメカニズム
矯正治療が終わったにもかかわらず後戻りしてしまうメカニズムは、実は詳細が解明されていません。現時点で分かっているのは、歯がもとの場所に戻ろうとする力や歯根膜の状態が関係していると考えられています。
・歯がもとの場所に戻ろうとする力
歯は、矯正治療をする前に自らが生えていた場所を記憶していると考えられています。そのため、矯正治療で歯の場所を移動させても、細胞や脳がもとの位置を覚えていてその場所に戻ろうとしてしまうのです。
・歯根膜の状態
そもそも、矯正治療で歯が動くのは歯の根のまわりを覆っている膜である「歯根膜」が大きくかかわっています。矯正装置によって力がかけられると歯根膜が収縮し、そこで細胞の代謝が起こり、歯が動くのです。したがって、矯正治療が終わったばかりの段階では、まだ歯根膜が緩んでいて歯を動かせる状態ということになります。また、歯根膜自体も元々の歯があった場所に最適化されているため、矯正治療で歯が動いた後も元の場所に戻ろうとします。
後戻りを防ぐには
後戻りを防ぐために最も大切なことは、保定期間中のリテーナーの装着を厳守することです。リテーナーを決められた時間つけておくことで一定の力を歯にかけ続け、新しい歯の居場所はここであるということを身体に馴染ませていきます。保定期間は、矯正治療にかけた期間と同程度設けるのが一般的です。矯正治療にかかった期間が2年であれば、保定期間も2年ほど必要ということになります。
まとめ
今回は、矯正治療が終わった後に後戻りが起こるメカニズムについてご紹介しました。後戻りを防ぐためにもリテーナーの装着期間はしっかり守りましょう。
当院では治療実績の豊富な矯正専門医が在籍しております。カウンセリングのご予約はお電話にて承っております。